kyon

アッシャー家の末裔のkyonのレビュー・感想・評価

アッシャー家の末裔(1928年製作の映画)
3.5
風や火や水、煙、ドレスのはためき、髪の毛のゆらめき、ヴェールのなびき、運動に注目していたジャン・エプスタインのやろうとしていることがわかる。

特にアッシャー家の主人が妻を絵画に描く度に妻の命が削られて、とうとう命途絶えるときの何重にも重ね合わされた画面が凄かった…。
ここでは死ぬ瞬間とその世紀を失う瞬間を表現する必要があったと思うけど、いくつもの妻のミドルショットを重ね合わせて、さらに動かして不安定な画面のゆらめきが見事に成功していた。

あとは妻がもう一度現れる(生き還る?)とき、ミディアム・ヘアがロングの黒髪になってるのも印象的。

1920年末、『サンライズ』とかも似てるけど、ヨーロッパの映画では映画の表現をめぐる実験が数々やられていて、この時代にあの妻の死の瞬間に到達してるのにほぅ…っとなった。
kyon

kyon