19世紀末のロワール渓谷を背景に、二人の中年料理人が美食を追求しながら恋愛を再び蘇らせる話です。これは、祖母が昔よく見ていたチープなラブコメのようなあらすじに思われるかもしれませんが…本当は、とんでもない繊細さと感性を持って、完璧なバランスを整っている作品なんです。本当にポトフのように、シンプルな材料を絶妙に調合し、じっくり煮込んだだけなんですが、ずっと心に残りそうな後味を見事に仕上げています。
時間の半分近くはただの料理シーンで使われていますが、二人の日常をそのまま味わえて、会話では伝えられていないことまで感じられます。そして、凄まじく美しい演出、温かくて優しい日差しや台所から発せられる小さな音で包み込まれて、最強に心地が良かったです。
実際の会話や物語の部分が限られていますが、一緒に台所で作業してきた気分で見られているから、ちょうどいい情報量とテンポ感だったと思います。
