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ポトフ 美食家と料理人のririのレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
4.2
既に持っている物を求め続けるのが幸福だ。
一番印象に残った言葉。
アウグスティヌスの言葉らしい。
人間って手に入れたものは当たり前だと思い、すぐに新しいものを求めてしまう。でも本当に大切なのは今持っているものに目を向けて愛情を持つことなのかなと感じた。今の自分にすごく刺さった。

音楽がないから料理の音や小鳥のさえずりに集中できた。映像がとにかく美しい。
でも食欲が刺激されるというよりは芸術を鑑賞してる感じ。
皇太子に家庭料理のポトフで勝負に挑むストーリーかと思ってたから話の展開と結末にびっくりした。エンタメ映画として楽しもうと思ってたけどすごく深い内容で好みだった。

「わたしはあなたの妻?それとも料理人?」
回想でウージェニーがドダンに言った言葉。この回答が2人の関係の全てを表している。妻への愛に留まらず、ウージェニーの料理人としての誇りを尊重する言葉に感動した。
2人は人生の秋に差し掛かっていると表現していたけど、私の人生は今何の季節なんだろう。年齢でいくと夏の始まりだけど、長く生きればの話。人生って本当にあっという間。日々を丁寧に、余計なものを削ぎ落として本当に大切なものを慈しみたい。
映画の主題とは逸れるけど、悩んでたことがクリアになった。
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