トラン・アン・ユンの監督作ってまるで感性が合わないのだが、舞台や役者を完全にフランスにしたこの作品。
監督の色が消えており、視覚的に心地よい空間を堪能できる。
料理人のウージェニーと、経営者のドダン。
常に料理研究を2人は行っており、世界中の美食家たちがこのレストランに味を求めてやってくる。
話し的には非常にシンプルであり、特に調理シーンと実食に掛ける時間がほとんどであり、セリフも驚くほど少ない。
だからこそ視覚が満腹に満たされる料理の数々。
鯉の卵のオムレツからはじまり、ポワレのブルギニョンソースも涎が出てくる。
視覚だけでなく聴覚も刺激してくる。
パイを切るときのザクザクする音なども、鑑賞後に食べたくなる。
愛と料理を求めるラストによる締めも見事であり、ラストの問いかけも料理に対する思いを的確に示しているのだろう。
この答えを逆にするのがアメリカかな。