ユウト

落下の解剖学のユウトのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5
タイトルは残酷で、本作は本当に亡くなった人の苦しみを悲しんでいるのか、どうか不明です。
女性監督が男性嫌悪を描きたかった。
マウントを取り自分が上ではないと気がすまない女性特有の業を描きたかったのか。
死亡背景は殺人か自殺か事故かを明らかにはしない。
素直にそう観たほうが無難なのだろうか。

容疑者は、どうやって殺したか。
その点からボヤケていて、よく直接的証拠もないのに検察側は容疑をかけたのか不思議であった。
こんなに、いい加減な警察ってあるのかい。
その点をボカシて話を進めるので、大人しく観ていた。
(カンヌ等、賞も沢山獲っているからね。
衝撃の作品に違いないと期待を持続しました。)
ただ裁判劇も肝心の事件より暴露話がスキャンダラスで、
ハンディキャップのあるひとり息子が再び証言するというクライマックスは邦画の名作『疑惑』を期待したが、
そんなエンタメは本作の狙いではない。
(ワンコを幼稚な実験に使うのは悲しかった。映画であっても辛かったです。)

ダンナを殺したとされた容疑者は女流作家で、身の上話を作品に反映させているバイセクシュアル。
って氷の微笑のシャロン・ストーンじゃん。
犯人じゃん。

主役の女優さんがケイト・ブランシェットを薄くしたような方で、私の中ではケイト・ブランシェットにしか見えなかった。

なぜ主人公はダンナと別れず、女性と浮気してもダンナと別れず、
苦しいと病んでゆくダンナと都合よく距離だけおいて、
それでも別れなかったのは、どうしてどうして。
その部分をもっとハッキリしっかり描いてほしかった。
愛とするには、共感はされまい。
自己中心的なパーソナリティが一貫されているし、
ラストシーンのふてぶてしさもあるから、
そういう女性像を現代に描きたかった、のだろうか。
(今村昌平監督の作品で、この手の女性像は既に観ているぞ。)
冒頭から女子大生と場所を替えてヤル気マンマンのレズビ毒母は
自ら殺めた(とされた)夫の悲しみより己の無罪判決に安堵したが、
そんな方と生きなければならない息子とワンコが不憫でならない。
ユウト

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