生々しくて丁寧で濃密な脚本がとにかく凄い…。
結婚とキャリア、ジェンダーとプライド、過ちと罪悪感、他言語によるディスコミュニケーションや子供のハンディキャップなどなどが一つの事件に綺っ麗〜にギュギュッと詰まっている。しかも多くの人が感情移入出来るようになっていて、夫婦喧嘩のシーンは「マリッジ・ストーリー」に並ぶヤバさ。この脚本が監督の旦那さんとの共作って事実に震え上がるよね〜
息子ダニエルが裁判について「真相がはっきり分からなくても(有罪/無罪)どちらかに決めなければいけないの？」みたいなことを言うんだけど、めちゃくちゃ当たり前のことなのにハッとさせられた。ダニエルがどんな気持ちでどういう決断をしたのかを考えてしまうし、母サンドラとの最後の会話のセリフにも薄ら寒い奥行きを感じる。
ミステリーエンタメを期待すると肩透かしかもしれないけど、様々な方向から掘りがいのある作品だと思う。没入感を強める演出、ダニエルが弾く不安定なピアノが劇伴代わりなところも良かった。
