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落下の解剖学のchiyoのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5
2024/3/17
人里離れた雪山の山荘で転落死した男性と、容疑者となった彼の妻。真実はあっても事実がなく、本当の意味での結末は未だに分からない。妻が怪しいと思えば怪しく、無関係と思えば無関係。が、誰よりも心を痛めているのは二人の息子であること、原因の一端が妻にもあるだろうことは変わらない。そして、関係が良くなかったとしても夫婦として生活をしていたのに、夫の死を悼む間もなく裁判で戦わなくてはならないのが悲しい。ただ、裁判後に妻が弁護士に語る褒美云々の話が不可解で、彼女にとっての夫の死の重さの程度が分かった気がした。また、裁判中に息子の世話をしていた女性が語る、「信じるのではなく自分で決める」という言葉が印象的。確かに、“信じる”は全てを相手に委ねていて、思うような結果でなかった場合は“裏切られた”になる。“決める”は全て自分の責任。しっくりこないところは多々あるものの、私は息子の証言を支持すると決めた。
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