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落下の解剖学のmkpackのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.7
【感想】
「真実」が「本当に起こったこと」とは限らない。。。
疑念の連鎖、たどり着く深淵に心ざわめく問題作。

まず脚本。

これは主人公が作家であるという設定をフルに使い切り、
伏線をこれでもかと張り巡らしたゴリゴリのサスペンスに仕上げています。
基本的には法廷とその外、現在進行の裁判と当時の家族の状況をパラレルに見せていくのですが、
台詞量がよく整理されていて混雑しないのもよくできてるなと感じました。

研ぎに演出演技。
物語の主軸になる息子役、ミロ・マシャール・グラネールの肝の据わった演技は素晴らしく、必見に値します。
法廷の様子や心理描写も細やかに演出されていて見逃しどころも少ない印象でした。

ただ、
・やっぱり尺がながく、集中していないと同じシーンに見えるシークエンスも散見されますし、
・作家性なんでしょうが、観客の心情を結構な割合で置き去りにするので、気持ちのついて行けないシーンも少しばかり多く感じました。

さて。
話の内容としては正直あまり共感できず。。
息子の台詞、
「何が真実がわからない時は、心で真実を決めるしかない」
とはいうものの、
そこには印象の大きさに埋もれてしまうことが多すぎるし、
正直結論ありきの打算も感じるし、、、。
特に主役の小説家・妻の佇まいにはおぞましさしか感じませんでした。

審美、真贋の重要性はわかっているつもりでしたが、
今一度、事実の確かめ方、偏りの排除をよくよく反省せねばと感じる作品ではありました。

【評価・つけるとすれば】
3.7です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
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