えるふぁにんぐ

枯れ葉のえるふぁにんぐのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
5.0
こんな沈黙の映画ズルい。
こんな可愛い映画ズルい。
何もかもギャップ萌えした。

沈黙は金なり

小津の映画に赤いヤカンを探すカウリスマキが、隙あれば赤色を差していた。
赤以外にも衣装も何もカラフルでそれだけで眼福、素敵だった。

室内の時は照明も相まってかつての撮影所映画のようなセット映画のような画作りで、でも外を撮ればちゃんと現代でそのギャップに時代感をあやふやにされる感覚がとにかく堪らなかった。

労働している時は全然女性としては魅力的に見えないのに(労働者、人間力的な側面はそれはそれで魅力的)逆に仕事場以外の全て、帰路や家やバーではとても魅力的な女性に見える。彼女の沈黙な恋心に説得力を与えていた。語らないが恋をしているんだという心情が体現されていた。
それを演技でしてしまっているのも凄い。

酔い潰れ寝ている彼を見つめながら、電車が発車し音楽が流れる。音楽が心情を物語る映画技法の基礎中の基礎は名画で良く見ていたけど、こんなにも響いてきたのは初めてで、シンプルに音楽によって映画が立ち上がる瞬間に劇場で初めて遭遇したかも。現代の新作でやられたから余計にそう感じたのかも。
音楽で映画が立ち上がる瞬間が何度かあったがもう一箇所特に際立っていたのが、彼の電話を待ちながら聴くラジオのチャンネルを変えて音楽が流れてくるところ。二人のカットを繋いでからの実景の差し込みに、その様式技法はめちゃ小津だけど映る景色が現代的な工事現場なのがまたしてもギャップ〜で喰らった。凄い〜って声出そうになった。

挨拶も礼も無いコミュニケーション。だからこそ浮かんでくるもの。

寝そべり窓の外を見つめお互いを思うほぼ同姿勢同アングルのカット繋ぎ。

死んだのか?
その逆よ

松葉杖に容赦ない、犬の散歩速度。
🐕❤️🍂🥃🩵