アカデミー国際長編映画賞、音響賞受賞作品。
ホロコーストをテーマにした作品は沢山あるなかで、真新しい見せ方をする本作。
アウシュヴィッツ収容所の真隣に住む平和な家族の暮らし。
収容所での虐殺の様子は一切映されず、それは音と煙のみで表される。
すぐそこにあるのにそれが無いかのように贅沢な暮らしを送る家族たちだが
明確に説明しなくてもずっと感じる違和感がとても居心地の悪いものだった。
自分たちとこの家族が重なって見えるからかもしれない。
近くで何が起きているか知ってはいるのだけれど、それが無いかのように生きている。
知ろうとするかと言われれば、知った気になってそこで完結している。見ないようにしている。
そんな私たちを私たちに気づかせるような意図を感じるし、あらゆる直接の描写が描かれていないのも敢えてそうしているのだろうと。
苦しいことは世界中であまりにも多く起こっているから、すべての近くにあろうとするのは自己防衛的な観点から避けたいけれど
それでも知ろうとする努力、関心を持ち続けることはやめたくない。
