アウシュビッツ収容所の所長一家
は収容所の隣で、穏やかで幸せな
生活を送っている。
壁一つ隔てた収容所の中では昼夜
問わず、不穏な音や何かを燃やす
煙、叫び声や犬の鳴き声が聞こえ、
幸せな家族の生活と収容所の中で
起こっていることの対比を間接的
に描き、際立たせています。
これまでにアウシュビッツ収容所
を描いた映画は数多くありますが、
全く新しいアプローチ。
純粋無垢である赤ちゃんはずっと
泣いており子供たちもやや暴力的
な側面があり、
妻ヘドウィグに至っては今の生活
や庭にしか関心がなく所長である
ルドルフは仕事への関心が強い。
登場人物それぞれ関心領域の幅や
深さが異なっているだけではなく
観賞している私たち自身も、
それぞれの関心領域が異なること
を突きつけられるような不思議な
感覚があったように思います。
極力無駄を削ぎ落としている内容
でしたが、生きる上で大切な何か
を教えてくれるような作品でした。