サーフ

関心領域のサーフのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.8
無関心という名の凶悪

1945年のドイツで一組の家族が暮らしていた。父と母、そして息子たちは時には自然に触れたり、時には乗馬を嗜んだりと何気ない日常を過ごしていた。
ただ唯一他の家族と違う点が彼らが暮らしているのが「アウシュビッツ収容所」の隣という事。
隣から人間の断末魔、銃声が鳴り響く中で彼らはいつも通りの日常を過ごしていく…と言うのが大まかなストーリー。

「行動を起こさない」事の恐ろしさに溢れた作品。
主人公一家が送る生活は大きな出来事も無く、偶に家族内の衝突がある位で本当に何気ない日常。
何気ない日常だけど終始聞こえてくる隣のアウシュビッツ収容所から聞こえる叫び声と銃声。
そんな状況なのに家族はまるで隣に収容所なんて存在していないかのように生活し続けるという恐ろしさ。
隣のアウシュビッツで何百何千人が殺されているのにその事よりも自分の暮らしの確保に対する方が感情を露わにする妻の姿に「無関心でいる事」の凶悪性を見出すことができる。

現代で生きる人間にも通じる話ではあるかも。世界各地で紛争が起きても何も行動に移さない今を生きる人たちと映画の中で恙なく暮らす家族と共通する部分はあるよねと突きつけられているように感じた。
ラストで突然時代が飛んで現代の描写がインサートされるけどそこで映し出される行為も1945年の一家とアウシュビッツとの構造を現代に置き換えただけにしか見えない。

前編通して不快。エンドロールで流れる音楽も滅茶苦茶不快。基本的にエンドロール終わるまで着席して見る派だけどこの映画だけはエンドロール中に退席しようかなと思った。
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