マーティ

関心領域のマーティのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.5
あるドイツ人司令官の家族を描いた作品

綺麗に手入れの行き届いた、プール付の家
家族7人+お手伝いさん3人が住んでても申し分ない広さ
裕福かつ幸せを絵に描いたような家庭
だが家の塀の向こう側にはユダヤ人強制収容所として有名な「アウシュビッツ収容所」が広がっている

ストーリーはほぼ家族の中で起きていることしか描いていないが、そこには映し出されはしないが、時折聞こえる叫び声や破裂音、そして1日中煙突から立ち上る煙などの違和感ある風景が、外で起きている現実と内側にいる家族の狭い世界との対比をうまく描いている

子供たちを含め、そういう環境に慣れ過ぎていて怖い
特に母親がこの場所で手に入れた「理想の家」に執着している

遠方から自分に母親を呼び寄せるが、彼女が娘の家に1日ていて見て感じた光景は、あまりにも異常だったのだろう
母親の置き手紙にはどのようなことが書かれていたのかは分からないが、その後の娘の行動を見れば想像出来る

あまり多くを語らず、映像から受ける印象は無機質で、わりと人の背中からのシーンが多いこともあり、人の感情を感じない、淡々とした作品だけど、ラストの方で主人公が暗闇の中に見たものは、自分の犯している罪深きことへの気づきなのかなと思った
私にとって一番感情が湧き上がったのはここのシーンだった

「関心領域」、現代もほぼそんな感じの意味合い(the zone of interest)だけど、この難しいタイトルを映像で見事に体現してるなと思った
マーティ

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