TakayukiMonji

関心領域のTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.1
初日鑑賞。
淡々と冷ややかに、それでいてずっしりと重い作品。
冒頭の不協和音のようなBGMから、ジョナサン・グレイザー監督の過去の作品たちを彷彿とさせる独特な空気感。
アウシュビッツ収容所に隣接している司令官ルドルフ・ヘスの家が舞台。この日常の風景を切り取ることで、関心と無関心を映し出し、人間の暗部を映し出す。確かにあの瞬間に、明確な悪はいるのだが、無意識的な人たちがいて、無意識なことが起きていることの恐ろしさ。
過去と未来を繋ぐことで、忘れてはいけない歴史を刻むのと合わせて、現在に対しても、明確に問題提起をしていた。
ヘス家の日常のすぐ横に映し出される映像、すぐ横で聞こえてくる音たちにより、ありえない違和感を感じながら、心をえぐられていく。自分も、このような”ZONE”にいないかを問われているようだ。
白黒の少女のところだけはあざとさがあり、あまり好きではなかったが、明らかに傑作。
(監督の血筋のルーツを聞くと、この作品を作る必然性に納得感を持った。)
TakayukiMonji

TakayukiMonji