たむ

関心領域のたむのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.0
カンヌ国際映画祭のグランプリやアカデミー国際長編映画賞を受賞するなど、2023年を代表する作品です。
作品の評価に直接つながっている、という点では、アカデミー国際長編映画賞よりも、あの凄まじい音響空間を構築した『オッペンハイマー』ではなく、アカデミー音響賞を本作が受賞した事の方が重要な気がします。
画期的で、他の作品には代入する事がかなり難しい映像と音の組み合わせ。
映像で描かれる第二次世界大戦下のドイツ人家族のドラマ非常に淡々としています。
その奥から聞こえてくるのが、別のドラマ、絶滅収容所からの虐殺。
観えるものと聞こえてくるものを合致して鑑賞する事が必要になってきます。
ホロコースト映画として、『シンドラーのリスト』クラスの大作として描くことも出来たと思います。
しかし、本作の淡々とした日常描写が、あの音を際立たせて、無関心の恐怖を描き出します。
ジョナサン・グレイザー監督は、大作に出来そうな題材をアート系に仕上げる、映画の価値を転倒させるため、好き嫌いは起こります。
本作の表現も独特。
とはいえ、考えなければならない人間の本質というものにふれる作品ですね。
たむ

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