もち零

関心領域のもち零のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
5.0
関心領域を観てきた
全てが恐ろしかったです

戦争・虐殺への強い抗議であり非難だった。

美しく眩しい自然も、夢のように幸せな暮らしを享受する母子も、恐怖に震えつつも飲み物を運ぶ女性も、他者から奪った富を当然のように享受し笑う夫人たちも、自分たちの生活が一体どんなものの上に成り立っているのか本当の意味で理解出来ていないであろう子どもたちも、あの煙も、灰の混ざった雪も、過去にそれら全てが起きたという事実も、今も虐殺が行われているという事実も、全てが恐ろしくて、何度も吐きそうになった。

毛皮やダイヤの話をする夫人達にも、キーキーと甲高い声で笑う妻にもどうしようもない怒りを覚えたし、でもその価値観をおかしいと思えなくなってしまうのが戦争だということもやるせなかったし、自分だって知らぬ間にそちら側になっているのではないかという恐怖に駆られてどうすればいいのかわからなくなった。

自分が幸福な場所にいるということに、なんとなく罪悪感があるけど、それが増した。この映画を観て、今起きていることについて考えることで、それから逃れようとしているんじゃないかと思ってしまう。
なんで戦争は終わらないんだろうね。
今できることってなんなんだろう。怒ることとか、イスラエル産のものは買わないようにするとか、早く戦争が終わるように祈るとか、そういうたった一人がやったところでどうにもならないことしか浮かばない。でも、何もしないことや、意識の外に置くことは絶対にしたくないなと強く思いました。自分にその義務を課さないと、平和を享受することを許せなくなる。
まじできっついな………

関心領域、タイトルが本当に秀逸。
あれらの映像だけで充分過ぎるほどに、登場人物それぞれの関心領域を見せつけられた。
塀の向こうの多くの死より自分達の楽園を見ている夫人、収容される人々を見て見ぬふりなど出来ず林檎をもたらす使用人。歯を見る子ども。無邪気に遊ぶ子ども。彼等、というかあの夫人を見て、塀の向こうに関心を持たない人間にはなりたくないと強く思った。

泣きすぎて目が痛い、恐怖で涙する映画ってなんだよ……本当に………まとまらない………


この映画、あまりに恐ろしいので、出来ればもう二度と見たくはないな、という思いがあるものの、映画館でちゃんと見て正解だったなりました。

想像を絶する恐ろしさを持った映画をどうありがとうございました


関心領域を観てきた
全てが恐ろしかったです
もち零

もち零