しゃちほこパンツ

関心領域のしゃちほこパンツのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.3
ドイツ人家族をフォーカスして描いている。
将校の関心は収容所の管理。どれだけ効率良く焼却できるのか。あの家族の中で唯一収容所に出入りしていると考えられる人物。
妻の関心は家族の管理。ファッション。旅行。夫の権力。
子ども達の関心は今の自分達の環境。

ユダヤ人の描写は最小限にされて、勿論個人を想起させる描写は一切なし。
観客は視覚と聴覚と過去の知識をフルに使ってアウシュビッツの中を想像しなくてはいけない。
観客の関心領域を問う作品なんでしょうね。

しかし、目の前で見えていない事に倫理観を伴う関心を持つ事は難しいんだなと。自分を守るために無意識で無視する事もあるわけで。
過剰な演出があるわけでもないので、好き嫌いは分かれる作品かな。

将校のピカピカの長靴1足に対するあのおびただしいボロボロの靴の数。それをどこまで恐ろしい事と感じれるのか。

「どや!こんなん観たことないやろ!」的な圧力を感じたどこか挑発的な作品でしたね。