こんなに終始不穏な映画を観るのは初めてだった。
観客が観て、庭の壁の向こう側で起こっていることを想像して初めて完成する映画だと感じた。
収容所で起こっている惨状を見せずに、音や間接的な描写を使って恐怖を演出することで衝撃だけでは済まされない恐ろしさを観客に突きつける映画になっているのかなと思う。
映画館で観るべき映画なのかもしれない。
私たちもまた壁を隔てて起こっていることから目を背けたり、無関心なままでいるあの家族のような存在であるのかもしれないと思った。無関心って怖い。
あの家に住み続けたいとか、ユダヤ人が着ていた毛皮のコート着るとか、口紅使うとか、ほんとに分かんないけどなんか人間だって思ってしまった。
あと、リンゴの少女のシーンにヘンゼルとグレーテルのあの朗読を重ねるのが憎くてしょうがなかった。