この作品を見て世界情勢に関心を寄せるべきと声高に主張する事はとても簡単な事であるが果たして私達は何をするのだろうか？（自らの生活を捨ててまで）
各々の幸福を第一優先とする人が多くいる中で、この家族だけを批判的な目線で評価し自らの清廉潔白さを暗に示すのは少し軽薄な気もする。
彼ら家族の振る舞いはもちろん人道的ではないが、反旗を翻すと簡単に殺されてしまう状況の中、半ば反動的に自らの幸福に執着したという想像もできる。（無力な自分と向き合い、良心の呵責に耐えながら生きるのもまた地獄である）ラスト付近の階段での身体現象は、再びその事実と向き合う時に出た拒否反応であり、これまでの抑圧を物語っている気もした。
だからこそモノトーンで映し出される少女に映画という光を与えた事は尊いのだと思う。
