絶滅収容所に隣接した居宅に住まう所長一家の幸福な生活。所長は大量殺人者というよりは忠勤サラリーマンとして描かれる。収容所から不穏な音がずっと聞こえているのは一家の暮らしの日常。訪ねてきた妻の母は眠れない夜を過ごして無言で去っていく。女同士の会話でユダヤ人を揶揄したり、怒りに囚われた所長の妻が「夫に言いつけて灰にして撒いてやる」と女中に毒付いたり、所長が子供と川で遊んでいると骨灰が流れてきて歯のついた顎の骨を拾い上げたり、収容者とことを終えた所長が流しで陰茎を洗ったりといった黒い描写もあり。当方が見逃しているディテールは多いかもしれないけど狙いは受け取れる。ただ映画というよりはアートのインスタレーションかな。
