オーウェン

関心領域のオーウェンのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.1
「オッペンハイマー」を見たときアカデミー音響賞をなぜ獲れなかったのかと思ったが、この作品が受賞したのには納得しかない。
音が何よりも重要な役割を果たすことになる。

冒頭の不穏な音楽がいつまで続くのかというぐらい響く。
そこから家族の楽しそうな生活が描かれるが、なぜか背景には音楽やセリフが微妙な音量で聞こえてくる。

一体ここはどこなのかが徐々に明かされていく。
それは建物の概要なだけで、家族のセリフで分からせるという演出。

アウシュビッツ収容所の隣にある家であり、父親が所長という役割。
ただドイツ人家族は収容所に一切関心がなく、普通に生活を続けていく。

母親は母親で無邪気に金持ち生活を満喫する様。
それは裏を返せば、どういうことかだ。

子供を必死で洗っているシーンも、関心なのは子供の健康なだけで、だからといって壁の向こうに興味を寄せるわけではない。

ナチもので、こういうアプローチをしてくるというのが予想外過ぎて驚く。
ラストで現実に戻す描写も、これでもかの警告とみていいだろう。

奇しくもガザの戦争が起こっているが、これを無関心でいることは難しい。
オーウェン

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