ここ2ヶ月で一番良い映画だった…
銃声や断末魔がまるで運動会の喧騒のように聞こえる異質で平和な日常。
そしてその日常を当たり前として、明らかな絶望の音をただの生活音として受け入れている無自覚な子ども達。
この異様な恐ろしさを断罪する訳じゃなく淡々と映し出して感じさせる新しさ。
平和な日常のすぐそば且つ対極にある向こう側の白黒反転の非日常と、執拗に左右対称な映像が寓話感をもたらしたかと思いきや最後の最後に一気に現実を突き付けるスピード感。(ヴァンゼー会議→現代という跳躍も何かと慮らずにはいられない)
主題の定め方描き方とそれを実現するギミック全てが新鮮に感じられて感動した。
今回彷彿とした映画は一部で寓話感が評価されている「悪は存在しない」と20世紀半ばのソ連を街ごと再現して人々の生活をなぞったプロジェクトによるリアリティ(?)映画の「DAU.ナターシャ」だったけれど、「関心領域」と比べると「悪は存在しない」は陳腐に感じて、「ナターシャ」を思い出しながら
私はやっぱりドイツやロシア映画の寒々とした質感が好みだし、映像の荘厳かつもの淋しい感じもずっと見てられると思った
音響がすごい評価されているらしくて
それはよくわからんかったけれど
確かに普通の映画が BGM→起こっていること(会話)→観客 だとしたら、「関心領域」は 起こっていること→BGM→観客 って感じがしてBGMがバックグラウンドになっていなくてその分音が語り掛ける情報が多いような気はした
あと、終盤に入ってそれまで意味を持たない雑音として流されていたアウシュビッツ側の喧騒に初めて字幕が付いた瞬間、この映画が今まで保ってきた温度感とテンポからギアが1つ上がったことを指し示されたような気がしてゾワッとした。
奥さん絶対見たことある!って思ったら
「希望の灯り」の人やった