きゃら

関心領域のきゃらのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.8
抑揚が無さそうなのもあり観るのを迷っていたけど、音が重要な映画で映画館で観た方が良いと聞き、観てみました。

やはり抑揚はあまり無かったですが、恐ろしい歴史が稀有な描き方で表現されている作品でした。

第二次大戦時のアウシュビッツ強制収容所の壁一枚隔てたところの豪邸に住むその収容所所長とその家族の日常が描かれています。

収容所での迫害のシーンは無く、恐ろしさは悲鳴や銃声などで描かれています。
時折、何気ない台詞の中にも恐ろしさがあり、自分は特にそこにゾッとする怖さを感じました。

観終わって自分は、関心とか無関心という事よりも見て見ぬふりという言葉が浮かびました。
あの場所に住んでいて関心が無いはずが無いと思います。
自らと自らの家族とその生活を守るために、人間である事を捨てたのだと思います。
極限下での人間の狂気と愚かさを突きつけられました。

冒頭の真っ黒な画面や途中の真っ赤な画面の音だけのところや、暗視カメラで写したようなシーンなどの演出も良かったです。

ただ、全体的に説明が少ない為、完全に理解出来ていないところはあると思います。
これからずっと先にアウシュビッツの事をよく知らない世代が観た時に、もしわからなかったら勿体無いなとは思いました。

まぁでも、恐ろしい歴史をちょっと変わった視点で描いたこの作品は観る価値があると思いました。
観て良かったです。
きゃら

きゃら