たくや

関心領域のたくやのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.5
アウシュビッツ収容所の隣に暮らす所長ルドルフ一家の日常を描く。
何不自由なく幸せそうな上流階級の生活を楽しむ家族の姿。そのすぐ横から聞こえる悲痛な悲鳴や恐ろしい音の数々。
相反する二つの世界を見事に表現したA24らしい芸術作品。

序盤から真っ黒な画面が映し出され、しかもそれが放送事故かと少し思ってしまう程長い。笑
この暗い中に、不穏な音が聞こえる。最初から“音を聴け”と訴えてくる。

中盤、りんごの少女に関する一連のシーンや演出、意味合いはすごい。監督もこだわりがあったらしく、まさにその力強さを感じるギミックだった。ここめちゃくちゃ好き。

ラスト、“今ここでない”場所を映し出した演出はめちゃくちゃ良かった。ここに関してはメッセージが分かりやすく、現代に生きる者たちに訴えかけている。


ただストーリー自体は面白くない。
※そもそも面白さを求めるものではないかもだけど。
正直“退屈”ですらある。
アウシュビッツの凄惨さとその横にある幸せ家族の構図設定。この作品は全てここに尽きる。これ以上の驚きや発言がなかった。画期的な演出やネタは多数あるけど、肝となる設定の凄さの枠からはみ出ない。
楽しさが限定されている。
この設定の良さを理解できる一部の人だけ楽しめるかと。

一度観る価値はあるけど、二度目はいいかなー。
たくや

たくや