うたり

関心領域のうたりのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.5
センスの哲学に学んで 印象をリズムとして箇条的に書いてみる

・視聴者を信頼した構成
・決定的な表現は一つもない
・モンタージュと音による効果
・一つのシーンが長尺で映される
・常に俯瞰的なカメラアングル
・必ず映る収容所の煙
・美しいはずが 暗く思える草花
・ところどころで入る幻聴のような悲鳴
・bestiaで見たのは正解
・関心領域の外を示す暗転、夢と錯覚させるミスリード
・自分は質素な宿でいいと妻を気遣う夫
・その一方で性処理の相手がいる不気味さ
・関心領域の外と言いつつ 無意識のうちに内面化されていく 収容所で起きていることたち
・アウシュビッツを模した植物園で 弟を閉じ込める兄
・嘔吐と同時に示されるミュージアム
・まず荷物を捨て 靴を脱ぎ 服を脱ぎ 裸で閉じ込められた焼却炉
・人を「荷」とよぶこと
・音が掻き立てるトラウマ
・使用人を罵る時の 収容所の比喩
・関心を向けたが故に この暮らしに耐えられなかった母親
・アウシュビッツの曲を弾く娘 唯一 関心領域を拡張していた娘
・咳をして 目覚めたら 視界に広がる灰色の煙
・死体の灰に慄いて 急いで川からでる父親 
・子供のために犠牲になり 自分は肺をかぶってでも急いで家に帰らせようとする父親
・牛の物真似をして 2人ではしゃぐベッドシーン
・庭師を誘ったことを比喩する煙草のシーン
・二度とするなよ!を模倣する末の子供
・歯を並べておもちゃにする上の子供
・召使はユダヤなの?いいえ、ユダヤ人は塀の向こうよ
・ユダヤ人への嘲笑を聞きながら 丁寧に用意される水
・エンディング 悲鳴のオーケストラ

2024/06/05
・耳がよくなるトランスに入っていた
・遠くの環境音が 意味をもって聞こえてしまうような状態に入り込ませる作品

・目に見えているもの 目に見えていないけれど 確実に私たちに影響を与えるもの

・関心の外から 人を変えることができる むしろ 無関心であることで 余計に効果的に 人を変容させることができる

・無関心の恐怖ではなく 無関心の効果を 描いていたのかもしれない

2024/06/05
・手を洗うシーンの過剰さ
・意識しているからこその 避けよう 避けようという逃避意識
・ハンナアーレント 悪の凡庸さ
・繰り返される ハイルヒットラー
・りんごをあげていたのは下女
・眠れない末の女の子
・魔女はかまどで生きたまま焼かれた
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