あんまり面白くなかった！
けど、それはそうで、物語性をとことん排して徹底的に「語らない」を貫いていたことに意味があるのだと思う。ここに、良心の呵責とか葛藤とかがあればもちろん物語としては面白くなるんだろうけど、それでは作為的になってしまう。彼らの欲望は子供の幸せだとか仕事の成功だとか、わたしたちと何ら変わらないところに終始していて、ただそこに暮らしがあるということがテーマをむしろうるさいほどに浮かび上がらせる。
子供がやけに強くドラムを鳴らすところ、聞こえてきた看守の声を真似するところ、温室に閉じ込めるところ、父親が最後に階段でえずいていたところから「人間の暴力性はどこから始まってどこに行くのか？」なんてことや、どんなに凄惨なことでもそれが実際行われるということは、それを計画する人がいて、実行する人がいて、その場を清掃する人がいて…という営みがあり「仕事と受け入れた時、自分はどこまでやれてしまうだろうか？」なんてことを考えた。が、このあたりの論題に対しても作品としては静観を貫いていたので…むずかしい。
