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関心領域のSHOのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.8
昨年12月、ちょうどクリスマスの時期にアウシュビッツ収容所を見学してきた。
ポーランドという国がこれまで背負ってきたもの。
クラクフの街には、暗い歴史とは対照的に映る華やかで煌びやかなクリスマスの電飾。そのコントラストになんとも言えない虚無を感じた。
人々はまるで思い出すのを止めようとしているかのように、それを忘れようとしているかのように。

街には大きな教会が立ち並び、この国が神に憐れまれなければ一体どの国が救われるのだというのだろう。
当のアウシュビッツは、どんよりと濁った天気による冷たさ、80年を経る今もなお、パジャマを纏った灰色の瞳がこちらをじっと見つめているような、ずっしりと重いひりついた空気を感じた。
ポラロイドカメラが映し出したモノクロ写真は、現実の色を映し出していたに過ぎないと錯覚する。
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