ゆきゆきて追悼のざわめき

関心領域のゆきゆきて追悼のざわめきのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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「ここが私たちの生存圏なのよ」

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所とレンガの塀を隔てて暮らす、所長のルドルフ・ヘス一家。子供の声が響き、立派な庭には花が咲く。しかしその関心領域外には断末魔や赤黒い煙が......

映画体験というよりも、インスタレーションを浴びた感覚でした。豊かな生活を送るなかで捨象される犠牲に神経を研ぎ澄まさせる試みとでも言いましょうか。塀の内外を潔癖に分離したいヘスと、略奪した香水を遠慮なく振るその妻の対比が興味深かったです

音響が素晴らしい分、映像の質感がチープに感じたな。(追記:巨大スクリーンでデジタルのノイズが気になる感じ。だからこそ音響に関心が向く余地があったとも言えそうです)あのラストシーンはもっと強烈でもいい。シネコンよりも小さな箱で再鑑賞したくなりました