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関心領域のsukohのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.8
▼どんな映画
不穏な音が響く中、淡々とありがちな日常が描かれる。退屈ながらも狂気に惹きつけれる映画

▼あらすじ
誰もが知るアウシュビッツ収容所。そこからわずか一つの塀を隔てた真隣に住む所長ルドルフ夫妻とその子供の生活を淡々と描く。一家の幸せな家族生活、季節の花々で彩られる美しい庭園、川のほとりでのひとときの休日に対比されるように、収容所内から響く人間の怒声や叫び声、黒煙と炎をあげる煙突・・・などなど、不穏な音が鳴り響く

▼良かったところ
・不快な音:オープニングから不穏で不快な音がなる。この映画は音を聞いてくれ、という映画の名刺になるいい演出。
・不穏と日常の対比:壁の中を想像せざるを得ない不穏な音が鳴り響く中、一般的な家族の風景が描かれる。特にルドルフが妻に転勤を告げ、夫婦喧嘩に発展するシーンは秀逸。
・罪の徹底的な排除;虐殺、暴力、不倫などは罪深い所業は、徹底的に画面の外に追いやっている、画だけを見れば淡々で飽きてしまう退屈な物語になってしまっているが、センセーショナルな場面の全てを画面の外に追いやっているところに、本作へのジョナサングレイザー監督の意思が垣間見れる。

▼疑問点/合わなかった点
・ホロコーストの狂気を描く映画としては未知のシステムだが、物語としては単調すぎる。物語体験はなく、2時間の思索体験に終始している。
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