白波

リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシングの白波のレビュー・感想・評価

4.5
劇場鑑賞
ロックンロール、その始まりの一人の物語。
聡明期というとリトル・リチャード、チャック・ベリー 、ボー・ディドリー、ファッツ・ドミノなどが思い浮かびますが、中でも一番好きなのはリトル・リチャードです。
どうしたって頭ひとつ抜けて見えるんですよね。
その波瀾万丈な生き様からして魅力的なんです。
人種差別と同性愛者に対する差別が激しい時代に(そもそもそれが理由で養子に出されてる)自らゲイとカミングアウト。
ショウビズにデビューして魅せた、圧倒的な歌唱と奇抜なステージパフォーマンス。
ゲイにドラッグ、その対極にあるクリスチャンでもあるんですね。
そしてキャリア全盛期に突如の引退、その後牧師の道へ。
再びステージに戻ってからはジミヘン・ストーンズ・ビートルズなどとステージをともにするなど、次の世代のロックンロールの芽を育ててもいました。
しかし天才でありながらも黒人であることで、ずっと静かに不遇の人生だった彼。
後年やっとその功績が認められた時の彼の涙は、私もつられました。
作品は多くが本人のインタビューで作られ、その古き映像が残っていた事にも驚きです。
リトル・リチャードだけでなく、インタビュー等この作品に関わった皆の熱量がとても感じられました。
彼のデビューアルバム「ヒアズ・リトル・リチャード」は今なおロックの歴史に燦然と輝く名盤でしょう。
ロックンロールの創造者であり解放者、そのリトル・リチャードの人生を描いた最高の作品でした。
白波

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