みむさん

Winter boyのみむさんのレビュー・感想・評価

Winter boy(2022年製作の映画)
3.0
クリストフ・オノレ監督の半自伝的映画とのこと。
主演のポール・キルヒャーはこれがデビュー作だそうだ。共演にジュリエット・ビノシュとヴァンサン・ラコスト。クリストフ・オノレ監督は亡くなった父親役で出ていた。

父親を失い喪失感でいっぱいのリュカ、母親を思いやる余裕もなく混乱し、兄と共にパリへ行けば兄の親友とカジュアルに寝てしまう。
リュカの性的嗜好については最初からオープンで、それを特別視したりせず、一貫して「家族」と「喪失」について描いていた。

なぜ父は亡くなってしまったのか、残された者たちはいかに生きていくのか、そして彼らに希望は訪れるのか。他の映画でもよく描かれる話ではあるが、この映画の登場人物は皆ずっと喪失からの再生に苦悩し葛藤していた。

リュカのモノローグで語られる気持ちも悲しみと空虚感が溢れているから余計にそう感じる。

画的には美しくポール・キルヒャーのおかげで一瞬爽やかに見えたりしそうだが、想像していたより重たくて陰鬱なドラマだった。