トビーかわいい。
トビーだけでも見てほしい映画。
ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」は読むと意外に長い物語で、最初から最後まで原典どおりに映像化した作品はないと思う(不勉強なので、もしあったら教えてください)。
この映画は原作の序盤にある「デメテル号航海記」を二時間に引き延ばして描いたもの。
ちなみに「デメテル号航海記」は原作でも数ページしかない。
よくあんな短い手記をこんな長尺にできたものだと、そこにひたすら感心してしまった。
もちろんケンブリッジ大卒の黒人船医はいないし、トビーもアナも原作にはいない。
原作は船の中に船員以外の「誰か」がいる、とおびえ惑う様子が書かれている。
それは人間で、背が高く、青白い男である、と。
この映画だとドラキュラは完全にクリーチャーで、悪魔の姿になっており、夜毎家畜や船員を襲う。
ロンドンに吸血鬼を上陸させまいと戦いを決意する人、逃げる人、絶望する人といるわけですが、この船でクリーチャーと戦うというパターンが好きな人は「ラブ、デス&ロボット」の「最悪な航海」を見てください。絶対、好きだと思う。
※ちょっとネタバレ?
・血を吸うたびに人間の姿になっていくのかなと思いながら見ていたけれど、最後の最後までクリーチャーのままだった。
・あれでロンドンを出歩くのは無理があるでしょう。
・輸血をすると吸血鬼化が遅くなるという発想はおもしろかった。
・初日の船の中はみな和気あいあいとしていて、ドラキュラとアナさえ乗っていなければすてきな航海だったろうにな……と、考えずにはいられなかったです。