YokoGoto

タイタニックのYokoGotoのレビュー・感想・評価

タイタニック(1997年製作の映画)
5.0
ーエンタメ映画のお手本、言うことありませんー

先日、久しぶりにFilmarksのベストムービーを変更した。しかし、一番大好きな「タイタニック」のレビューをしてなかったので、ベストムービーに登録することができなかった。よって、5.0点という点数だけ入れてマークしたところ、ユーザーさんからレビューを読みたいと、コメントをいただいたので、改めてレビュー。

ジェームズ・キャメロン監督が「タイタニック」を世に出してから、ちょうど20年。

歴代2位の興行収入を叩き出した完璧なエンタメ映画は、未だに色褪せず、未だゆるがずベストムービーだと思っている。
興行収入第2位と言っても、1位は同じくジェームズ・キャメロン監督の「アバター」だから、キャメロン監督は、いかに世の中を潤す映画を作る監督であるかは解説不要であろう。

私も、公開当時は2度ほど映画館で鑑賞し、その後DVDやCS放送などで、何度鑑賞したかわからない。
観るたびに心踊らされ、しばし呆然とする。とにかくスケールがでかい。制作費が300億と言われている作品で、何もかもがこだわって作られている。

当時は、実物大の船をセット用に作った事が話題になったが、それ以外にもCG作成などにも巨額のコストがかかったろう。この構想を映画化し、妥協しなかったキャメロン監督の執念を感じる作品である。

公開当時は、そのCG技術に圧倒されたが、あれから20年。今のCG技術はもっとすごくなった。

なので、本作「タイタニック」は、今になって改めて観てみると、CGっぽさが見えてとれる部分も多くあって、時代は進化したな....と思う。

また、当時は、あまり気にならなかったが、合成シーンもほんのりわかってしまう。しかし、しかし、そんな事は吹っ飛んでしまうほどのスペクタクル感。もはや、芸術の域だと思ってしまう。

まさに、300億かけたものの、その後、制作費の10倍にもなる、3,000億ほどの興行収入を叩き出した異次元の作品といえよう。

さて、肝心な映画の内容についてである。
これは、もはや解説不要だろう。

もはや、非の打ち所のないエンタメ映画であり、ほとんどツッコミどころも無い。

とにかく、シナリオおよび映画の構造が完璧である。

主役であるジャックとローズの出会いから、二人の距離が近づいていくまでの流れるような場面構成。そしてそれらを阻むものと、主人公ローズの心の動き。最後まで燃え尽きることのない二人の想い。
すべてが流れるようにストレスなく進んでいき、胸の高揚感は途切れることがない。

完璧なシナリオと編集と演出である。

そしてキャスト。
本作のジャック役にレオナルド・ディカプリオ(以下、レオ)を起用した時点で、この映画は成功している。なんなのでしょうか。あの美しさと破壊力。スクリーンに映し出されたジャックに、ほとんどの女性は恋に落ちたはず。(今でも見るたびに恋に落ちます。笑)

しかし、今、改めて「タイタニック」を観ると、実際のレオの演技は、かなり初々しい。当時はあまり気にならなかったが、その後のレオの演技の変遷を見れば、相当フレッシュで未完成・未成熟な演技だった。それに対して、相手役のケイト・ウィンスレット。17歳の令嬢役ではあったが、今あらためてみると、レオよりも演技が成熟している印象があった。

もはや、大女優の風格。
(そもそも、この物語はローズの物語なので、心の動きはローズにあたっている映画なのであるから、当たり前なのかなと思うが。)


ただ、主役はローズなのだけれども、あのレオの透明感あふれる美少年ぶりに、結果的に、レオにも十二分に光が当たってしまった映画とも言えよう。

そして演出。この作品の演出は、ほんとうに細かいところまで行き届いている。「にくいね」という演出の宝庫であり、物語に没入させてしまう作品の肝であった。個人的に好きなシーンは、ジャックが、場違いなディナーに招待されたシーン。威風堂々としたセリフの後に、ポイとマッチを投げるシーンがあるのだが、めっちゃ清々しくてかっこよい。

最後に音楽。これも言うことがない。
本作は、シナリオ、演出、キャスト、すべてが素晴らしいが、音楽も特に素晴らしい。
もう、本当に素晴らしいとしかいいようがない。

主題歌になったセリーヌ・ディオンのメインテーマばかりが注目されるが、ダンスシーンの音楽やタイタニック号沈没シーンの緊迫感あふれる音楽も素晴らしい。どのシーンをとっても、心に残る音楽に包まれた作品でもある。

物語としては、タイタニック号沈没を描いた物語ではあるものの、差別、不平等、理不尽、無慈悲など、人間にとって非常にネガティブなテーマを物語に盛り込んだ事で、ただの娯楽映画を超越し、人間の欲望と純粋な愛を共存させ、人々の心を震わせた歴史に残る超大作といえる作品。

非の打ち所がない作品というのは、こういう作品なのだと思っている。
未見の方は、ぜひ、御覧ください。
YokoGoto

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