MinaMi

タイタニックのMinaMiのレビュー・感想・評価

タイタニック(1997年製作の映画)
4.1
観るたびに泣ける名作。決まって泣くのは、演奏家のシーン。設計士、船長、老夫婦、貧しい母子、紳士、そして演奏家達。己の運命を悟って最期の迎え方を選ぶ姿に感動。「エイリアン2」「アバター」でも魅せてくれるキャメロン監督らしい視覚効果が発揮されている。
恋愛映画として語られることが多いが、個人的にパニックムービーとして最高傑作の一つだと思う。手錠を外すために駆けずりまわったり、落とした鍵を水中で開けたりと、ハラハラさせる演出が素晴らしい。
現代から過去を振り返っているので、結末は変えられないことは分かっていても目が離せなくなる。映画というものは過去に完成しているものを、現在観ているわけなので、結末は変えられないという、ある種傍観者としての視点で見守るものだ。
未来を知りながら平和な船室や逃げ惑う人々をあたかも神の視点で眺めるのである。本作はそういう感覚を強く感じさせてくれる。
それにしても、ジャックにとってローズがいかにfemme fataleであるか。はじめにローズの命を救ってから、ジャックは死ぬことが運命づけられたのだと思う。それを境にジャックは何度も死んでもおかしくないシーンがあり、ローズは生き延びるためのチャンスを何度撥ね付けても運命に導かれるようにジャックの予言通りに人生をまっとうする。まるで死神があの時、手に入れ損ねたローズの魂の代わりにジャックの魂を貰うことを決めたように。
それと、悪役がちゃんと悪役してくれているのは、ほんといい。改心なんてしないし。
最後に何故、海の心を海に沈めたのか。これを解釈するのがこの映画の醍醐味だと思う。
海の底で眠る恋人に、もうすぐ逢いに行くことを伝える永遠の愛の誓いだったのでしょうか。

・脚本 8/10
・演技 8/10
・演出 9/10
・音楽 8/10
総合点 33/40
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