Jean

タイタニックのJeanのレビュー・感想・評価

タイタニック(1997年製作の映画)
4.6
19.08.20 字幕視聴

声をあげて泣いたのは、
多分この映画が初めてだと思う

わからない
目から溢れ出る涙を止められなかった

見てすぐにこれを書いているから、
自分がなぜこんなにも泣いているのか
整理をつけることができない


私はこれを家族と見ていた

エンディングが流れ、
ふとテレビを見ているはずのない
母の顔を見ると私と同じ顔をしていた

なぜ母は泣いているのだろう

そして、なぜ私は母の赤い目を見て
声をあげて泣いてしまっているのだろう


今これを書いていて、
なんだかわかった気がした


私はこの映画で2度の涙をした

1度は、ローズとジャックの愛と別れを目にして

2度目は、愛する人を失う人が
どれほどいたのか
その痛みを想像しての涙だ

愛する人を失うことがどれほど辛いか

そして、愛した人の分も背負って生きることが、
脳裏に焼き付いたその人と共に生きられないことが
どれほど辛く悲しく、寂しいことか

私には想像できやしない

そんな悲しみを背負って、
生きていくなんてできやしない

この映画はローズとジャックの
恋愛映画というわけではない

この映画を見ているとある瞬間ふと気づく、
これは彼らにフォーカスした一部でしかない

ボートに乗れずにいる夫と
ボートから飛び出そうとする妻

沈没する船から逃れようと
船から飛び降りる青年

ローズの目をじっと見て
叫びながら落ちる女性…

1500人の犠牲者とその家族や恋人たち

1人ひとりに物語があり、
みなそれぞれに一生消えない痛みをおったのだ

それが大切な誰がを失っていない人であっても

知らない誰かの泣き叫ぶ痛みを目の当たりにして、
引き裂かれるような想いにならないわけがない

一体どれほどの悲しみが
この映画には詰まっているのだろう

そう思うと私は
心臓が握られているかのような
感覚に陥った

……………

人はいつか愛を知り
涙はいつか枯れるると涙を流し続けて、思い
悲しみはいつか薄れるのだと歳月を通して悟る

愛はいつか涙のように枯れ、
薄れてしまうのだろうか

どうか枯れずに薄れずに
形を変えてもいいから
心の中にあり続けて欲しい

ローズがジャックを思うように
誰にも言わなかったその愛のように

時が流れようとも、
愛の形が変わろうとも、
愛する人がいなくなっても、
どうかどうか愛が人の心からなくならないで欲しい

愛が人を強くし、
人を優しくさせるのだから

誰かを本気で愛して生まれた愛とは、
きっとそういうことだと思うから

私はまだ出会ったことがない
その愛とやらに
今心打ちのめされたのである
Jean

Jean