べし酒

ペナルティループのべし酒のレビュー・感想・評価

ペナルティループ(2024年製作の映画)
3.9
閉じ込められ系ループ物かと思っていたら、ちゃんと契約通りの内容だったと後に分かるのは、情報の出し方が上手いなと思った。

遺族死刑執行世界内の死刑囚の溝口は記憶を保ったままループしている様に描写されるし、彼がVR世界内で何故か腹が痛いと言っているのは現実世界の彼が負傷していて(警官に撃たれたとか)その肉体の痛みがVRにリンクしている彼の脳からもたらされている、つまり彼は現実世界でまだ生きていることを示唆しているのかなと。そうするとループ最終日の溝口の気落ち描写にもしっかりと意味が出てくるし。

復帰リハビリ的VR世界の唯が完全に淳の記憶存在でしかないのも生と死の対比ということか。

目覚めた淳が耳にする喧騒も虚構(死)のVR世界と現実(生)の世界の対比
ドライブ中の電柱のクローズアップは、VR内には無かったものってことなのかな。自分はVR内にいる時はその事を気にも留めてなかったので確実じゃないけど。

何度でも殺したいと願った相手がそれでも生きた証を残したことを知り、愛した唯が生きることに意味を見出せなかったことを知り、現実世界で事故った淳がそれでも「大丈夫です」と言ってみせるラストはストレートながら、割と好きです。口を血だらけにしながらの笑えるテイストが主人公役の若葉竜也さんの持ち味で一層良い感じ。
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