女を捨てきれなかった礼子、生活にだらしがなく頼り無い幸司
あぁ、なんて哀れなカップル。
しかし愛なくしてどう生きろというのか。
全てを差し置いて帰郷の列車まで追い掛けてきてくれる男がいることの幸福さ
この最後は感情より理屈を選択した礼子への説教でもあり、その様に生きる人々に問うている。
髪は生き方を象徴する。
規範や常識から乱れることが、人間としてその生をいき延びる上でどれだけ大切なことか。
動物として生まれた以上動物らしく生きてはいけないのか。
戦後の保守的な社会構造・家族社会という骨組みが、非情にも上手く立ち回っている。
乱れる前髪。
列車で徐々に接近していくシーン。
2人は近付かざるを得なかったのは必然だった。
停車中に蕎麦を食べる幸司と、窓越しのジェスチャーによる会話がとても良かった。