かーくんとしょー

NANA2のかーくんとしょーのレビュー・感想・評価

NANA2(2006年製作の映画)
2.5
キャストが前作から数人変わって大批判(と一部の賞賛、主に本郷奏多に対して)を浴びた本作。
そこにツッコみはじめると作品単体で評価ができないので、あえて触れない。

前作はバンドメンバーが夢を追い上京する話で、基本的に前向きな作品だった。
それに比べ、本作は徐々に崩壊していく話のため「楽しい」作品ではない。
それでも私は原作ファンでもあったし、楽しめるはずと期待していた。

バンド活動より人間関係が主軸になる中で、その震源地になるバンド部外者・ハチ。
市川由衣はルックスも演技も悪くはないのだが、想定外だったのは、このハチという稀代のダメ女が実写化するとエグすぎたこと。

中心となる人物が、悪く言えばあまりに非現実なダメ女であることは、鑑賞者の心を間違いなく作品から離してしまった。
しかも作品上、前作までの美しい世界観がこのたった一人のダメ女の優柔不断や自己中心性によってぶっ壊されてしまう(ように見えた)ため、鑑賞者は怒りさえ覚えたかもしれない。

原作ファンとして説明すると、原作ではここまでハチ「だけ」に苛立ちを覚えることはない。
それは各キャラクターにそれぞれ弱みがあり、それらが絡み合うことで、後戻りできない悲劇的展開を生んでいくからだ。

しかし、それは各キャラクターの心象風景を、その場その場で巧みに織り交ぜつつ進められる漫画でこそ成り立っていたのだと、本作を観てハッと気付かされた。
実写版「NANA」はキャスティングにも拘りを持ち、かなり原作愛のある実写化プロジェクトだったと私は評価しているが、漫画をただ忠実に実写化することの弱点が如実に出てしまったように思えてならない。

最後に、前作の主題歌はL'Arc〜en〜Cielが担当し大ヒットしたが、本作はGLAYが担当した。
結果は映画同様に期待値ほどのヒットとはならなかったが、聴けば聴くほどこれが素晴らしい楽曲。
映画と同じ墓に埋もれさせてしまうにはあまりにも惜しい一曲だ。

written by K.
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