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四月になれば彼女はのodyssのレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
2.5
【不出来】

期待はずれでした。

結婚を目前にした精神科医の藤代(佐藤健)と獣医の弥生(長澤まさみ)。
しかし弥生が失踪してしまう。
藤代が学生時代に付き合っていた春(森七菜)からの手紙が少し前に届いていた。春は藤代と同じ写真部で、二人で海外に写真を撮りに行こうと相談を重ねていながら、事情があって別れざるを得なかったために行けなかった場所を今になってめぐっていたのだ。
そして・・・

問題は、女性二人の行動原理や心理状態があんまり見えてこないこと。特に弥生がそう。
動物が好きな人は精神的な問題を抱えている場合が多いという説があるんですけど、彼女もそうだったのかも知れない。何にしても、この映画では彼女の本質がしっかり捉えられていない。

だから、最後のあたりの展開も、説得力が出てこない。愛を知らない女が、婚約者の元カノの手紙を・・・って、人間はそんなに分かりやすい動物なのか、と言いたくなる。

それに、二十歳くらいの年齢ならいざ知らず、三十代の人間なら、結婚って愛情だけでするものじゃないということくらい分かっていないといけないと思うな。だから弥生の行動はいっそう訳が分からない。

もっとも弥生には同様の前科があるわけで、もともとそういうタイプの人間だったのかも知れず、そうだとするとなおさら春の手紙で・・・という部分が説得力を持たなくなる。

春だってそうですよ。
彼女の場合、○○との関係が問題なわけだけど、その点がどうなったのか、この映画では描かれていない。死んだのかも知れないけれど、彼女の場合は相互依存の関係だったと考えられる以上(じゃなきゃ、藤代を選んでいるはずですからね)、○○が死ねばそのあとそれなりに危険な心理状態になるんじゃないかと思えるんですけど。

つまり、この映画は、漠然たるムードと突き詰めない人物描写でできているに過ぎないのです。ボリビアやチェコやアイスランドの風景はキレイですけどね。

だから、中盤がダレている。最後の謎解きと、最初に弥生が失踪して色々あった後とのあいだのあたりが、筋書き展開がなくて間が持たず、退屈になってしまっている。

あと、例によって女優の容姿の話で申し訳ありませんが(あくまで私の好みでということです)、森七菜って、主役やるような顔をしていないと思うな。ほかの女優、つまり長澤まさみ、ともさかりえ、河合優実の三人がそれなりなのに、長澤まさみと並んでヒロインを演じる女優が美貌とは言えないのでは、明らかなミスキャスト。脇役にするなら構いませんけど。

佐藤健は、頬がこけてきて、大人の風格が出てきたかな。ただ、このままうまく魅力的な中年男優になるかどうかは、よく分からない。
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