この映画は、大量の食わず嫌いを生み出しているに違いない。
何といっても同名のゲームが入口になっているし、そうでなくともリアルなレーシングもの（≠ワイルドスピードなど物語的なもの）というジャンルは、見る人を狭めるだろう。
私は周囲にこう勧めたい。
「平凡な田舎の青年が、プロスポーツ選手として成り上がるまでの実話」
ありきたりに聞こえるか？いや違う。なぜなら彼の練習方法はゲームなのだ。映画の題名はそういうことである。
さて、映画で描かれるのは大きく分けて二つ、ゲームを通じてプロ選手になるまでと、プロ選手として一人前になるまでだ。
後者は、正直言って「グランツーリスモ」として描かれる必要があるのか、最初はわからなかった。
本作の象徴的な存在は、金ピカのランボルギーニである。キャラとしてはただの嫌なやつなのだが、主人公との対比で考えてみれば、このライバルをはじめ皆プロのレーサーというものは、子供の頃からある程度整えられた環境で鍛えられてきた人たちばかりということを気づかせてくれる。
主人公は、「一ヶ月下着を売ったバイト代で手に入れた」ハンドルコントローラーで、プロの世界と勝負できることを世界に示した。
主人公個人もすごいのだが、そんなゲームは今まであっただろうか？
ただの娯楽として時間潰しに観ても楽しめる他、ゲームというものが将来私たちの生活をどんないい方向にもっていってくれるのか、考える楽しい時間を鑑賞後にもたらしてくれもする。
観ないのは、もったいない。
