すえ

グランツーリスモのすえのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.2
記録

最近お金にも時間にも余裕がなく、2,3ヶ月ぶりの劇場鑑賞。やはり映画館は至福、日常からの逃げ場であり居場所、住まわせてほしい。
今作はMX4Dで鑑賞、臨場感溢れる劇場体験で楽しかった、その分疲れたけれども。これは映画館で観なければならんな、劇場鑑賞で得られる付加価値がかなり大きい。自宅で観たらここまでのものは得れないだろう、良い体験だった。

ニール・ブロンカンプがこういう映画を撮るのかと驚いた。今までのSF映画とはこれまた違うもので、彼の作品でもありSONYとコロンビアの作品でもあるんだなぁと思ったり。

以前、彼が立ち上げたオーツスタジオの短編集を観て、オーツスタジオチームのVFXの凄さ、細部に至るまで手が込まれた造形などに感心した。彼らはアンチ・ハリウッドとも呼べる立場に立っていて、慣習的で保守に走るハリウッドに一石を投じようと奮闘している。氏の『第9地区』や『チャッピー』などの作品も低予算で撮られていて、工夫とアイディアで戦っている彼らを応援したくなる。いつか、誰も見た事ないような映像体験を果たしてくれるのではないか、『グランツーリスモ』で得た資金でニール・ブロンカンプらしさ全開の新作を作って欲しい。

今作はほとんど実際のスピードと同じ状況での撮影だったらしく、俳優たちも実際に200~300kmで走る鉄の塊の中におり、その撮影現場の緊張は計り知れない、凄い仕事だ。話の元となっているヤン・マーデンボローもカースタントで参加しているらしい。

そして、下町情緒溢れる東京を写すショットが素晴らしかった。いや、ほとんど物語と関係ないシーンではあるんだけど。演出臭さはあったとはいえ、その場の空気感を上手く捉えており、日本人の思う東京と、外国人の思うTOKYOの中間にいるようで、とても面白かった。外国人の描く日本(Nippon)は新しい発見があって興味深い。

ひとつ悔やまれるのは、俺が車にも、グランツーリスモにも関心が薄かったこと。それらに詳しいのと詳しくないのでは、映画の楽しみが2,3倍も変わると思う。そのため車好き及びグランツーリスモ好きは絶対に観るべきである、お願いだから観てほしい、そしてどれ程面白かったか教えて欲しい。

2023,270本目(劇場38本目) 10/16 TOHOシネマズなんば本館
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