プレイステーションの人気レーシングゲーム「グランツーリスモ」。ゲームながら世界的名プレイヤーの青年ヤンは、日産がゲームプレイヤーを本物のカーレーサーへと育てるプロジェクト、GTアカデミーに参加する。幾度となく訪れる困難を乗り越え、一流のレーサーへと成長していく姿を描いた実話ドラマ。
普段レースゲームをしない僕でも十分その存在を知っている「グランツーリスモ」。そのゲームプレイヤーを実際にコースでマシンを運転させて、プロのレーサーへと育てたプロジェクトがあった事を本作で初めて知りました。
普通に考えたらゲーマーがレーサーになるなんて不可能。その思い込みを完全に吹き飛ばしたのが本作の主人公ヤン・マーデンボロー。当然最初はゲームと現実のギャップに苦しみ、心折れそうになるも目の前のレースに挑み続ける。
念願のライセンスを取得した直後のレースで不慮の事故が発生し自身も重傷。観客にも死者が出てしまう大惨事に。ここでレーサーを諦めようと考えるものの、周囲の人々に支えられて乗り越える。そしてクライマックスはル・マン24時間耐久レース。
流れは完全に王道のスポ根ドラマのよう。分かっていても熱量は抜群だし、やはりレースシーンの演出が圧巻。ゲームを模した順位の表示やヤンが思い描くコースを可視化する演出は他のレース映画ではない面白いものですし、ドローンを使ったカメラワーク、落ち葉や小石が弾け飛ぶ地面の映像も臨場感が凄まじい。これはIMAXで見てたらもっと楽しかったでしょう。
ヤン自身の挫折と栄光を経験するサクセスストーリーをベースに、トレーナーとの師弟愛、家族との絆などのドラマが良い感じで物語に溶け込んでいるのも本作の完成度を高めている要素。
公開前まではイマイチかもと思っていたら、公開当初から絶賛の嵐だったのも納得。胸が熱くなり心が沸き立つ作品でしたね。
