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ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人のくりすぷすのレビュー・感想・評価

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フランス王ルイ15世役がどうして米国人ジョニー・ディップ???と思ったけど、どんくさい感じでちょっとコミカルなところがさすが。フランス語のセリフは少ない気がした…全体的に重くならない仕上がりに大きく献身していた印象。

ワタクシは高級娼婦にしてルイ15世の公の愛人にまで上り詰めたデュバリー夫人に、半世紀ぶりの再開(?)。当時10歳のベルばら大好き少女だったワタクシは、「娼婦が宮廷に上がって、国王の愛人になるなんて、信じられない!そんな汚らしい女と口なんかきけない!!」という14歳のアントワネット様の(漫画上、映画でも描かれていたので史実かもだが)ご意見に深く同意していたが…半世紀も経てば自分も大人にもなるし、物の見方、世間の常識、映画としての描き方も、かなり半世紀前とは違って自分的におもしろかった。

①さんざん愛人たちと楽しんどいて、死ぬ直前に懺悔して自分が天国に行くために、愛人を追放するルイ15世はただの自分勝手。

②「死ぬ前に懺悔で天国へ」ってそもそものキリスト教の設定(?)コンセプトが霊感商法的。

③「妻」が国王の「愛人」になれば自分も利益があるから伯爵は娼婦と結婚⇒女も結婚して伯爵夫人身分でないと宮廷に上がれない⇒「夫人」だから国王と結婚できない国王には利益しかないループ

④そのころ抑圧されていた平民そして男性より下であった女性は世界で一番古い商売、売春でのし上がるのが一番のサクセスストーリーかもだし、昔の王族貴族なんて公に愛人がいるのがあたりまえ。子供の死亡率が高く、子供はたくさん産ませておかないと、という前提がその時代にあり今の倫理観とはかなり相違。

⑤当時フランス・ブルボン王家よりおそらく強大だったオーストリア・ハプスブルク王家出身のお姫様アントワネットの「娼婦なんてけがらわしい!!」って今だったら炎上の職業・階級差別発言。まあ「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」と言ったとか言わないとかで、200年以上前のパリで庶民の暴動発生、文字通りのパリ大炎上で、自分の首も飛ばした、元祖炎上女王だからしょうがないか。それに当時は貴族王族から見たら庶民なんて人間じゃなかっただろうし。時代と供に価値観も変わって、自分は現代の庶民でも生きていられてヨカッタ。
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