ツクツクボーシ

瞳をとじてのツクツクボーシのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.0
お世辞にもカタギの皆様にオススメできるエンタメ映画では決してないが、エリセのファンには感涙モノの一編。久々のヨーロッパ映画でそのゆったりとしたペースに合わせるのに正直苦労した。

記憶を失った俳優をめぐる物語。ただし、ここに映画史や映画体験を意識した繊細な仕掛けと謎があちこちに散りばめられており分かる人にはグッとくる感じ。3時間弱の長尺もこの時間感覚を体感してほしいという意思の現れだろう。映画監督はこういうふうに世界を見ているということでもある。ただ、いくらなんでも台詞が多すぎるとは思ってしまうが。

画面暗転処理が多いのも本作の特徴。本編長いけどいくつもの語られない沈黙と間を提示する。果たしてフリオの目に写ったものとは…。

余談:食事シーンがめっちゃ「ミツバチのささやき」。「上海ジェスチャー」はスタンバーグの映画から?
ツクツクボーシ

ツクツクボーシ