22年前、映画「別れのまなざし」の撮影中に主演俳優が失踪。そして現在、彼の親友であり監督でもあったミゲルは、テレビ番組の特集を機にその行方を探すことに。
ビクトル・エリセ監督作品は初めて見たが、割と静かに映像で見せてくる作風だったので、こちらも何度か瞳をとじてしまった。その度巻き戻して見たけど。
劇中映画を見てキャラクターが過去を追想し、それを我々が見るという入れ子構造。そして終盤、劇中劇と映画の中の世界観がリンクする時、観客側の気持ちも自ずとリンクする。きっとこれを劇場で観ていたらさらに心に刺さるものだったのだろう。
タイトルにもあり、アナが父フリオと再会するシーンとラストカットで行われていた「瞳をとじる」という行為が印象的。たとえ記憶を失っても、身体に刻まれた記憶というものは失われない。真意は分からないけど、瞳をとじるという行為はその記憶に思いを馳せるためのものなんじゃないかと思ったりした。だから最後、フリオの記憶は呼び起こされたのだと思いたい。