ヤマト

湖の女たちのヤマトのネタバレレビュー・内容・結末

湖の女たち(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【 世界は美しい。あとは人間次第 】
 透明感漂うポスターとタイトルとは対極の内容。なんと言うか、恐怖と狂気がギュッと凝縮されたような作品だ。タイトルに因むのであれば、サラサラした水に飛び込んだと思ったらドロドロしていたというイメージになるだろうか。
 ストレスに圧迫される悪の福士蒼汰さんはたまらなかった。下から覗き込むようなギョロッと怪しい瞳にはギョッとしてしまう。
 同じく、悪に転落した浅野忠信さんの存在感は恐怖そのもの。ドスの効いた声でストレスを与え続ける圧倒的にして威圧的な態度にはゾクっとした。
 透き通るような美しさが印象的な松本まりかさんを好きになった。その印象はまさに、湖とリンクする。自慰から始まる衝撃的なオープニングから性の奴隷と化す演技まで、色々な意味で魅了されたし、プロの精神に脱帽した。
 
 しきりに「世界は美しいのか」という問いが提起されるが、世界は美しい。これは間違いなさそうである。あとは人間の言動、もっと言うと心に懸かっているのではないだろうか。欲望やエゴで汚すのは人間以外にこの世で存在しないからだ。おそらくこの世の生物の中で、最も世界の楽しさや美しさを堪能させてもらっている人間の責任はとても大きいのである。
 ともすると我々は、世界に対し、地球に対し、美しい言動で恩を還す他ないだろう。
ヤマト

ヤマト