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犯罪都市 NO WAY OUTのRのネタバレレビュー・内容・結末

犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

映画館で。

2024年の韓国の作品。

監督は前作「THE ROUNDUP」を手がけたイ・サンヨン。

あらすじ

ベトナムでの凶悪犯一掃から7年後、マフィアも恐る「怪物刑事」マ・ソクト(マ・ドンソク「バッドランド・ハンターズ」)はソウル広域捜査隊に異動、ある事件を捜査していた。その中で、事件の背後に新種の合成麻薬と、日本のヤクザが関わっているという情報を掴む。一方、麻薬を盗んだ組織員たちを処理するため、極悪非道な「ヤクザの解決屋」リキ(青木崇高「ゴジラ-1.0/C」)が一条親分(國村隼「君たちはどう生きるか」)の指示のもとソウルに送り込まれる。さらに麻薬を奪取するため「汚職刑事」チュ・ソンチョル(イ・ジュニョク「野球少女」)も加わり、事件は三つ巴の戦いに突入、2人の最強の敵を前にソクトに最大のピンチが訪れる!!

いやぁ、やってきてしまいました。今月2月4週は祝日を含めた連休ウィークということもあり、今年始まっての映画激戦区!!SSUの最新作「マダム・ウェブ」や土屋太鳳主演の出会い系アプリホラー「マッチング」、ガイ・リッチー最新作にして事前評価がものすごく高いジェイク・ギレンホール主演の「コヴェナント/約束の救出」、世界最弱のサモアサッカーチームの実話映画「ネクスト・ゴール・ウィンズ」、そして今年のアカデミーにも関わってきそうな2時間半越えの伏兵「落下の解剖学」などなどと大作、話題作含めた気になる作品が一気に公開とあって、映画ファンにとっては嬉しい悲鳴と共に苛烈な三連休となるわけなんだけど、これだけは言いたい!!

もっと散らせ笑!!そんな何本も観れねぇよ!ただでさえ忙しいのに、個人的なことを言うと明日は仕事…😭もうそれだけで時間がないのにみんな一つ一つ違った意味で面白そうだという…。

なんか去年も5月の最終週がこんな感じでドサっと面白そうな作品が一挙公開だったけど、今週はそれを超えるなぁ…。というわけで明日仕事で作品選びが重要となってくる今週まず選んだのはご存知みんな大好きマブリー主演の最新作にして、彼の出世作の一つである「犯罪都市」最新作!!

特に前作がものすごく個人的に面白かったのでまずはこの作品からというのは前々から決め打ちして挑んだ作品ということなんだけど…。

結論から言うと、やっぱこのシリーズは良いなぁ…と改めて思いつつ、個人的にはハードルを上げすぎたというか…ぶっちゃけ2の方が好きかなーという感じでした。

お話はあらすじの通り、前作から7年後、マブリー演じる怪物刑事、ソクトは見た目は変わっていないんだけど、主な変更点としては、強行班からソウル広域捜査隊に異動ということで、前作からの腐れ縁のコメディリリーフ、イルマン班長やそれ以外の刑事たちもいないのはちょっと寂しいところ。

ただ、ソクト自身の「剛腕」ぶりは今作でも健在!!例えば序盤から前作とほぼ同じ流れでの挨拶代わりのアクションがあるんだけど、数人のチンピラたちを一蹴もとい「ひと殴り」で蹴散らす様が凄まじい!加えて、本作では前作での漫画的なアクションからマブリーが最も得意とする「ボクシング」を主体にしたアクションがふんだんに盛り込まれており、重厚な見た目に反して軽やかなステップでものすごいスピードのジャブを打ち込んで敵を倒すテクニカルな面も披露してくれる。

また新たな仲間や今作でも出てくる新しいコメディリリーフのチンピラたちとの掛け合いも面白い。捜査隊の上司ジャン(イ・ボムス「20世紀のキミ」)の高級な漢方をまるでチョコを頬張るように多量に摂取したり、他の韓国映画でもよく顔を見るキム・ミンジェ(「震える家族」)演じる右腕的部下のキムとの軽快な掛け合いも相性抜群なんだけど、新たなメンバーになってもやっぱりあったお馴染みの「真実の部屋」のシーンが特に笑った。

今作ではそれまでの流れからジャンから監視カメラを隠すなよと釘を刺されるんだけど、じゃあ「真実の部屋の掃除の時間だ」と合図が始まると徐に部下たちが(ジャンも普通に混じってw)、部屋の掃除を始めて、キムが監視カメラを布巾で吹き始めて、意図的に隠すと同時に次の瞬間には尋問相手が「ドスっ!」と音と共に机にひっくり返ってるww

もはや、3作目でお馴染みとなったいわば「コント」的シーンだけど、作品ごとに趣向を変えて見せてくるあたり、やっぱ良いよなぁ。

後は中盤から出てくる麻薬の運び屋の元締めの「いい顔」のチンピラをラブホで尋問する際に謝ってソクトの座るウォーターベッドが音楽と煌びやかなミラーボールと共に回転するシーンとか悪質車ディーラーのこちらもめっちゃ「いい顔」のチョロン(コ・ギュピル「ソウル SEOUL MISSION」)をボコすところとか笑えるシーンもたくさんあった。


その中で、今作でも新たな「悪役」がなんと2人も登場!!

まずは日本勢からまさかの出演、青木崇高演じるヤクザのトラブルシューターというか殺し屋のリキ。この人も息が長いよなぁと思いつつ、「ゴジラ-1.0」に続き、まさかのマブリーとの共演という最近目覚ましい活躍が目につく俳優さんで、もちろん男前な役者さんなんだけど、それ以上にコワモテな顔立ちを生かしたワイルドなヤクザとしてのっけから暗闇から登場するシーンからもう既に怖い!!そして、そこからジャパニーズヤクザといえばの日本刀を武器にバッタバッタと敵を叩っ斬る様が爽快で、実写「るろうに剣心」で左之助役に抜擢、谷垣健治にアクション演出を受けただけあり、体技もしっかりしている印象。

そして、メインヴィランとなるイ・ジョニョク演じる悪徳刑事ソンチョル。映画における悪徳刑事といえば、特に韓国ではその「ゲスさ」が目立つ小悪党ってイメージなんだけど、本作のソンチョルは一味違くて、冒頭から冷酷に同じ警察のチーム長をぶっ殺したり、麻薬の交渉相手のスキンヘッドのチンピラを鎖で縛ってぶっ殺したりと「卑劣」というよりかは「冷酷」そのもの。

演じるイ・ジョニョクも、ちょうどケイン・コスギと原田龍二を足して2で割ったような男前で影で暗躍するというよりかは、むしろ前面に出て暴れまくる影のあるヴィランとして存在感を発揮する様が悪徳刑事のキャラクターとしても新鮮だった。

そんな2つの勢力と新種の合成麻薬「ハイパー」20キロを巡って三つ巴のバトルと発展していく!というのが本作の流れなんだけど、序盤は三つ巴入り乱れての麻薬争奪戦ということで人物関係が割と複雑でなかなかついていくのに一苦労するところも…。

加えて、肝心のリキら日本勢もなかなか登場せず、ヤキモキ。ただ、中盤から本格的にヤクザたちが台頭してくると、出ました國村隼演じる組長の電話口のソンチョルに「お前舐めた口聞いてんじゃねぇぞ」と静かにドスを効かせるシーンだったり、屈強な部下を従えてのジャパニーズヤクザここにあり!な上述のリキの日本刀アクションなど見せ場があったりするんだけど、それでもキモであるソクトの剛腕アクションは割と控えめ。

ただ、クライマックスに向けてギアが掛かってくると、それまで麻薬を巡り追いつ追われつな関係だったソンチョルとリキが一方は銃を一方は日本刀で対峙した後(非常に映画的でカッコいい決め絵!!)、協力関係を結び、迎える終盤。

一旦はチョロンと共に攫われヤクザに捕らえられ、ボコされて大ピンチ…と思いきや、ヤクザたちを一蹴し、迎えるリキ戦!!日本刀を手にするリキに向かって、小さいビニール袋を出して「物証だからここに入れろ」とお馴染みの開幕前の煽り台詞を吐いた後、日本料亭?みたいな「和」なバトルフィールドでリキの日本刀をかわしつつ、ぶち折って、それでも椅子を使って反撃してくるリキに必殺の剛腕パンチで吹っ飛ばす!!これぞマブリーアクションでスカッ!!

そして、その後はvsソンチョル!まさかリキではなくソンチョルが真打ちだとは思わなかったけど、ここでもまさかの警察署内をフィールドに対峙前に「弁護士を紹介する、「拳」弁護士だ。」と名台詞認定の煽りからの刑事らしく手錠を武器に戦うソンチョルを豪快にワンパンチでぶっ飛ばして、ロッカーに叩き込むパワフルすぎるアクション!!これよ!これが観たかった!!そして、今作でも最後は後ろ姿で颯爽と去る、やっぱカッケーー!!

ただ、やっぱ前作と比べると話が複雑な分、アクション要素で言うと控えめで、悪役的にも今作ではメインが2人ということでパワー配分が二分された分、前作のソン・ソック演じるヘサンに比べると悪役としての魅力も薄まっちゃっててパワーダウンも否めない。せっかく日本から青木崇高呼んで、しかも日本刀使う凄腕ヤクザ役なんだから、もう少し暴れるか、ちゃんとマブリーとは最終決戦してケレン味溢れるアクションをもっと、もっと観たかったなぁ…という感じはあるかなぁ

あと、やっぱ捜査隊メンバーも悪くはないし、全然いいとは思うんだけど、やっぱ前作の強行班メンバーに比べると班長のキャラもこっちの方が弱めだったのは残念だったかなぁ。今作でも恒例の「打ち上げ」シーンがあって、まさかのチョロンも頑張ったからか同席してるのは良いんだけど、「乾杯!」だけで終わっちゃったのもちょっと残念。打ち上げシーンでしか得られない栄養もあるんよ!

まぁ、ただ今作は流石に登場しないだろうなぁ…と思っていた「あの人」も最後には登場しての「COMMING SOON」は胸熱で、どうやら8作目まで構想があるらしい本シリーズの次作が早くも楽しみでならない!!劇中の時系列がちゃんと進んでいくという懸念点はあれど、もはやマブリーの代名詞&ライフワークとなりつつあるこのシリーズ次も期待して待ちたい!!
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