檸檬

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の檸檬のレビュー・感想・評価

4.0
終戦直前の日本にタイムスリップしてしまった女子高生。

戦時中の洗脳ともいえる、「国のために死ぬことが素晴らしい」という思想で埋め尽くされた世界に一人迷い込んでしまったら、やはり耐えられなくなってしまうのだろうか。
言動や行動をもう少し抑えることはできなかったものかと思う場面もあったが、当時の同年代との精神年齢の差を表現していたのかも。

ただ、現実的に考えてしまうシーンもあり主人公の行動が少し恥ずかしく思えた。
特に最後の友達が駆け寄るシーンは、ない方が非現実的で感動が続くのかなと。

日本が戦争に負けると言っただけで、「非国民だ!」と激昂した警察官もまた被害者なのかもしれないと、青年は言った。
戦争に負けないために自らが弾となる、そんな選択をしてしまうのが戦争なのか。
出撃命令が下されたと聞かされ、「おめでとうございます」と言わなければいけないのは何とも酷である。

日本は負けたが、自分が夢見た未来を目指せる国となったのは散っていった命の上に成り立っているのかもしれない。
国のために捧げられた命があったことを忘れたくない。
檸檬

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