テレビドラマ滅相もないを見て興味を持ったので、監督名に惹かれて録画。
今までいくつか見た加藤監督の作品はどれも通常のドラマや映画の枠組みに収まらない何かがあって、それは作品によってストーリーだったりキャラクターだったりするんだけど、何故か心惹かれてしまう。今回もその感じを覚悟して見たら意外と大人しくまとまった作品だった。けれど作品から受ける心がざわっとする感じは生々しくあって、やはり加藤作品だなあと思った。
全部見たわけではないけれど、見た範囲で私が加藤監督の作品から受ける印象は、人間のずるい面や嫌な面を逃げずに描いて、その上で人と人との関係を描いているなあと言うもので、この作品も出てくる人出てくる人、みんなどこかずるくて嫌な面を持っている。誰にも共感できないんだけれど、そのどこか寒々した感じがなんとなくクセになってしまう。
特に文則は、態度は穏やかだし、言葉遣いも丁寧だけれど、どっか圧を感じると言うか、言葉で人を追い詰める感じは見ていてしんどかった。でも、だからこの人は前の奥さんとも続かなかったんだろうし、今も結婚生活破綻してる。多分自分では何が悪いか分からないんだろうし、一生あのままなんだろうな。などと見終わってからもついついいろいろ考えてしまう。
無音のエンドロールも、だからこそ余韻が重い。
