菩薩

男はつらいよ 知床慕情の菩薩のレビュー・感想・評価

男はつらいよ 知床慕情(1987年製作の映画)
4.0
シリーズ38作目、マドンナ:竹下景子、ゲスト:三船敏郎。

風邪を拗らせ肺炎になりおいちゃんが入院、休業中のとらやだったが遂に明日から営業再開と言うタイミングで柴又に帰ってくる寅さん、ここは本来の跡取りである男の腕の見せ所ではあるが、当然寅さんにその様な才能は無く、あっと言う間に喧嘩→飛び出し一路知床へ。なんと言っても「ザ・サムライ」三船の好演が光る今作ではあるが、寅さんが今まで培ってきた恋愛指南役の実力が遺憾なく発揮される作品でもあり、引越しの際に瀬戸物と瀬戸物の間に挟み込まれる新聞紙の様な、人間関係においての緩衝材としての役割も十二分に果たす大活躍の回である。絵に描いたような頑固な男、父親である順吉(三船)と、マドンナとして2度目の登板となる竹下景子演じるりん子との親子の間を取り持ち、また強がりばかりで素直になれないスナック「はまなす」のママ・悦子(淡路恵子)との煮え切らない間柄にも強烈な一撃をかまし背中を押す。自分の恋愛の方は…まぁ正直邪魔者さえ入らなければいけたものの、そこは寅さん、人の事は上手に出来ても自分の事となるとてんでダメ、ただあんな風にしれっと手なんて握られちゃった日にゃ俺みたいなこの世界で数少ない純情青年の末裔は一たまりも無く惚れちまうって事は覚えておいて欲しい。知床のロケーションはシリーズ随一の美しさ、満男の寅さん化が更に加速する。
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